ビタミンDは脂溶性ビタミンの1つで、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。
食事から補うだけでなく、紫外線を浴びることで体内生成されることから、サンシャインビタミンとも呼ばれています。
最近では細胞の成熟を助け、妊娠に必要なビタミンとして、専門家の間でも注目が集まっています。
ビタミンDが女性に与える影響について、3つの興味深い研究結果が出ています。
ビタミンDと卵巣予備能力の関係
AMH(アンチミューラリアンホルモン)は、卵巣年齢とも呼ばれる卵巣予備能力のことです。残りの原始卵胞の数の指標ともなります。
閉経前の388名の女性を、35歳未満、35~39歳、40歳以上に分けて、ビタミンDとAMHを測定して調べた結果、40歳以上では血中のビタミンD濃度が高い女性ほど、卵巣予備能が高いことが分かりました。
ビタミンDを摂ることで卵巣機能の低下を防ぐことができるという事ですね。
ビタミンDと妊娠率の関係
体外受精の際に採取した、84名の女性の血液と卵胞液に含まれるビタミンDの濃度を測定した結果、卵胞液中のビタミンD濃度が1ng/ml高くなると、妊娠率が6%高くなることが分かりました。
体内のビタミンDの濃度が高い女性ほど、体外受精の妊娠率が上昇するという結果は、これこら治療を行う方にとって朗報ですね。
ビタミンDと流産の関係
アメリカの研究チームが3回以上の流産を繰り返している女性133名を対象に、血中のビタミンD濃度と自己抗体などの自己免疫マーカーとの関連や、試験管内のビタミンDの細胞免疫への影響を調べました。
その結果、半数弱の63名がビタミンDが30ng未満と少ないことが分かりました。
ビタミンDの濃度が正常な女性に比べ、習慣性流産の原因となる抗体をもつ女性が多かったのです。
参考文献:『卵子の老化に負けない「妊娠体質」に変わる栄養セラピー』(2017)
男性にもビタミンDが効果的!
ビタミンD不足が影響するのは女性だけではありません。日々新しく作られる精子には細胞の増殖を助けるビタミンDが必要です。
健康な精子をつくるためには、ビタミンD、亜鉛、葉酸など、細胞生成に必要な栄養素をしっかり摂るようにしましょう。
ビタミンDの効率的な摂取方法
日光浴でビタミンDをつくる!
ビタミンDは、食事からだけでなく、太陽の紫外線を浴びることで生成される珍しい栄養素です。
週に2~3回、1日5~30分の日光浴が必要と言われていますが、日常生活で普通に過ごしていれば自然にビタミンDは作られます。
日照時間の短い冬は、ビタミンDの生成量が約1/4にまで下がるので意識して日光浴をしましょう。
日焼け止めの使用で紫外線をカットしてしまうと日光浴の意味がありません。
日焼けが気になる場合は、メラニン色素がない手のひらを太陽にかざすだけでも効果があります。
季節にあった服装を心掛け、息抜きに日中外に出るなど些細な行動から始めてみましょう。
どうしても日光浴に抵抗がある方は、食事やサプリメントから積極的に摂取したいですね。
ビタミンDの1日の目安摂取量と上限量
ビタミンDの1日の目安摂取量は、一般成人男女で5.5µg、妊婦・授乳期では7.5µgです。
ビタミンDは過剰摂取に気をつけたい栄養素の一つで、上限量50µg/日と決められています。
上限量は通常摂取の10倍量ですので毎日摂りすぎてしまう心配はありません。
ビタミンDたっぷりの食材を食べましょう!
ビタミンDは、魚類やきくらげ、まいたけなどのキノコ類に多く含まれています。
100g中のビタミンDの含有量
あん肝…110μg
ゆできくらげ…25.3μg
イワシ…32μg
アジ…8.9μg
サバ…5.1μg
まいたけ…4.9μg
まぐろフレーク…3.0μg
エリンギ…1.2μg
卵…1.8μg
しめじ…0.6μg
しいたけ…0.4μg
文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会編日本食品標準成分表2015(政府刊行物:独立行政法人国立印刷局発行)に準拠したデータベースを使用
ビタミンDは脂溶性ですので、油と一緒に摂るとことで吸収率がグンとアップします。熱に強い栄養素ですので調理しやすいのもいいですね。
まとめ
ビタミンDは、卵巣予備能、妊娠率、習慣性流産に深く関わっている栄養素です。
健康な卵子と精子のために、ビタミンDは欠かせません。
ビタミンDは日光浴でつくられるため、ウォーキングなどの運動を昼間に行うと効率的です。
妊活中は、ビタミンDの多い魚やきのこ類を積極的に取り入れ、赤ちゃんを迎える準備をしましょう。