毎日の食事や肌に触れるものは安心できるものをと、普段から気を使われている方も多いですよね。なかなか気が付きにくい所ですが、妊活中に意識したいのがシャンプーやヘアケアです。妊娠中や授乳中は、カラーリングやパーマに気を使うイメージですが、妊活中もこだわりたい理由があります。
妊活と頭皮の関係とは?
女性の頭皮と子宮とは、血管と神経を通し、密接に関係していると言われています。妊娠を望む女性にとって、皮膚から毒性を取り込む「経皮毒」についてもきちんと考えておきたいですね。
頭皮から吸収された化学物質は脳や子宮に蓄積し、吸収されるという説があります。
ただ、頭皮と子宮については様々な見解があって、私たちの体にはこのような成分を処理する機能が備わっているため、気にしなくて良し!という人もいます。
経皮毒については、明確な根拠が立証されているものも否定されているものもない、というのが現状です。
では、皮膚からの影響を無視していいのか、といわれると悩むところ。皮膚に貼るホルモン剤や、肌から浸透して内側から整える化粧品もあるくらいですから、皮膚から成分が吸収されて、体に何かしら作用するという可能性は十分にあります。
皮膚の厚さは平均4~9㎜ですが、顏や頭皮の厚さは2㎜弱しかありません。頭皮は髪に守られているため、顏よりも薄く1.4㎜程度です。
頭皮の仕組みから考えると、明確な根拠がないのであれば、大切な妊娠前後はできるだけ安全な方選びたいですよね。
では、どんな成分のものを選べばいいのでしょうか。
どんなシャンプーを選べばいいの?
ここでは、毎日使うシャンプーについて挙げてみたいと思います。
洗い上がりや泡立ち、香りなど選ぶポイントが色々とあるかと思いますが、妊活中にこだわってほしいのが「成分」です。
シャンプーを選ぶ時のポイントは、この3つです。
・アミノ酸(弱酸性)
・石油系界面活性剤不使用
・ノンシリコン
界面活性剤とは?
界面活性剤は、大きく分けてアミノ酸系、高級アルコール系、せっけん系があります。
水と油のように互いに混ざり合わない物質でも、界面活性剤を加えると上手く混ざって汚れを落とす役割を果たしてくれます。
界面活性剤の役割は、汚れをしっかり落とすことですが、界面活性剤には天然と合成があり、さらに石油系界面活性剤は刺激の強い成分になります。
スタイリング剤をよく使う、汗をかきやすく頭皮がべたつきやすい人にはおすすめですが、刺激が気になる大切な時期は控えたい成分です。
◆シャンプー(界面活性剤)の種類
アミノ酸系の特徴
アミノ酸から作られる界面活性剤。頭皮への負担が少ない。時間をかけて丁寧に洗うことが必要。
合成と天然のものがあり、天然のものはアレルギー体質の人、頭皮トラブルがある人向き。弱酸性のものがおすすめ。
高級アルコール系の特徴
市販のシャンプーで最も多い。鉱物油や動物性油脂などから作られる合成界面活性剤。
泡立ちに優れる。地肌に残るとトラブルを起こしやすいので、よく洗い流すことが必要。
天然系と石油系があり、石油系は刺激が強いので肌の弱い人には不向き。
せっけん系の特徴
脂肪酸ナトリウムなどから作られる合成界面活性剤。毛穴の汚れまでしっかり落とせる。
せっけんカスが頭皮や髪に残りやすいのでよく洗い流すことが必要。
アルカリ性のため髪を膨潤させ、パサつきやきしみを誘発するので、髪の長い人には不向き。
アミノ酸系 | 高級アルコール系 | せっけん系 | |
洗浄力 | やや弱い | 高い | 高い |
刺激 | 低刺激 | 刺激が強い | 頭皮への刺激は弱い |
参考文献:浜中聡子「女性頭髪専門医が教える本当のヘアケア 女性の薄毛・抜け毛|お悩み解消BOOK」東京都:主婦と生活社、2011年、37頁
シャンプーの種類を見ると、天然のアミノ酸系が肌に優しく、使いやすそうですね。
人間の体をつくるたんぱく質の元になるのがアミノ酸です。皮膚に近い弱酸性の成分で洗うので、刺激はほとんどないのが特徴です。
皮脂を落とし過ぎることなく、頭皮を揉むようにじっくり洗うことで皮脂や汚れを吸着して落としてくれます。
アミノ酸は髪を補修する力があるので、地肌とともに潤いのある髪に近づけてくれます。
髪を梳いてお湯でしっかりすすぐだけでも、70~80%の汚れは落ちます。
シャンプーの力だけに頼るのではなく、頭皮に優しい工夫をしながら、肌に優しいシャンプーを使いましょう。
アミノ酸系と高級アルコール系(石油系界面活性剤)の中でも、代表的な成分がこちらです。
アミノ酸(OKな成分) | グリシン・メチルアラニン・グルタミン酸・メチルタウリン・サルコシン |
高級アルコール系(NGな成分) | ラウリル硫酸ナトリウム・ラウレス硫酸ナトリウム・ラウレス硫酸アンモニウム |
必ずシャンプーのボトルや袋に全成分が記載されているので、アミノ酸メインの成分かどうか、シャンプー選びの参考にしてくださいね。
シリコンとノンシリコンって何?
最近は「ノンシリコン」のシャンプーもでているので、シリコンが何となく悪いんだろうな~というのはわかります。
シャンプーに含まれるシリコン剤は、髪をコーティングしてツルっとした髪触りにする化学物質です。
シリコンは、髪や頭皮に薄い膜を張ってダメージから守る目的で使用されていますが、髪に残りやすく毛穴をふさいでしまうため、頭皮が呼吸できず、髪にも栄養がいきわたらない原因になります。
石油系界面活性剤を使ったシャンプーは刺激が強く髪が傷みやすいので、プラスでシリコンが使われているということがよくあります。
シリコンよりも、それを使わなくてはいけないほど、シャンプーの中に髪や頭皮に良くない成分がたくさん入っているというのが問題なのです。
市販のノンシリコンシャンプーには、ほかのコーティング剤が入っていたり、セットのトリートメントにシリコンが入っているケースも多いので注意が必要です。
オーガニックシャンプーも似たようなケースがあり、オーガニック成分が少し使われているだけのシャンプーで、添加物だらけというものもあります。
シリコンの人体への良し悪しは諸説ありますが、間違いなくいえるのは、「環境への問題」です。
シリコンは微生物が分解できない化学物質なので、川や海が汚染されていくことになります。
自然に還らない素材を肌や髪につけるのはやっぱり良くないですよね。
シリコン(NGな成分)の成分はこちらです。
メチコン
シロキ
シリル
シラン
ポリマー
○○メチコンなどの成分には注意しましょう。
アミノ酸系、ノンシリコンシャンプーでトリートメント要らずのシャンプーもあるため、チェックしてみてくださいね。
妊活中もカラーリングやパーマは良くない?
妊娠中にカラーリングやパーマに気をつけたほうがいいのは、このような理由があります。
・肌が敏感になりやすい
・長時間、同じ姿勢で座っているのがつらい
・カラーリングやパーマ剤の匂いに敏感になりやすい
妊活中は大丈夫なように思いますが、美容院で必ず聞かれるのが「ヒリヒリしないですか?」という言葉。
弱酸性の頭皮に、アルカリ性の薬剤を使用するため、頭皮にダメージを与える原因になり、好ましくない成分が頭皮に残ってしまうかもしれません。
とはいえ、ヘアスタイルを変えるのは、妊活中の気分転換にもなるため、カラーリングもダメ!というのはストレスになるかもしれませんね。
美容院によっては、根元から1mmあけて、頭皮にカラー剤がつかないように染める方法もあります。
きちんとカウンセリングしてくれる美容院で、相談してみるのもいいですね。
まとめ
顔と繋がっている頭皮ケアは、スキンケアと同じです。顏につけたくない!という成分はできるだけ避けたいですね。
お湯だけで髪を洗う「湯シャン」や、お酢やオリーブオイルなど、食べても安全な成分で髪をケアする方法もあります。
そこまでする必要はないかもしれませんが、妊活中は、アミノ酸(弱酸性)、石油系界面活性剤不使用、ノンシリコンで髪に優しいシャンプーを選んでおくと安心です。
これから赤ちゃんを迎える女性も、妊娠中のママも、赤ちゃんも、化学物質が入っていない体に優しいスキンケアを心がけたいですね。